吉開かまぼこ見学記

2009年7月1日に、吉開かまぼこさんに見学いってきました。お客様と一緒に、総勢18名だっけかな。

社長の吉開さん。創業120年余。三代目。もとは魚屋さんだったのですが、先代の頃からかまぼこ作りをはじめ、現在に至るそうです。先代のころはアミノ酸、リン酸塩などを使っていたそうですが、添加物を使うことに疑問をもたれ、またご自身も化学調味料に反応が出やすい体質でもあったため使わない方向に向かわれたそうです。



真空の釜で原料となる魚のすり身と塩、調味料などを攪拌していきます。
昔は魚を三枚におろして、身をすりみにして、骨の部分から出汁をとって、とやっていたそうですが、いまでは原料として冷凍すり身がありますからね。漁獲からすりみ加工までの時間が短縮されるそう。この時間がひとつ味に影響してくるそうです。実は、この段階でリン酸塩を加えてあっても「キャリーオーバー」という概念があって、原材料表示にはかかなくてよいのです。リン酸塩の話は長くなるので最後に。



これはちくわ。右奥のホッパーにすり身を入れて、シート状になったすり身を棒に巻きつけていきます。まだこの段階では生。


一度、遠赤外線をつかって熟成。コンベアで運ばれていった後…



焼き上げの工程を経て、ちくわになります。
丸天、野菜天などを作っているところも見せていただいたのですが、手作業が手際よく行われていました。


朝が早く、また派手な職業ではないのですが、若いスタッフが多く、活気のある工場でした。


たかなかまぼこを手作りする社長。
少量しか出ない商品は、すべて手作業です。すべて目分量ですが揃うんですよね。


でまあ、リン酸塩(ポリリン酸ナトリウム)の話。ちょっとだけお付き合いたもれ。


そもそもなんで使うのよ、という疑問があるんですが、魚のすり身って水分が多いわけですよ。魚をさばくと良く分かりますし、それをすり身にしてみると良く分かります。手早くやらないと、ドリップだらけでパサパサしちゃいますよね。冷凍した魚を冷蔵庫で解凍、ちょっと忘れるとえらいことなります。で、それを防ぐために保水力や結着力を強めたり、食感やジューシー感を与えてくれるリン酸塩の登場です。加工まで時間が掛かったり、魚の種類、質を問わず加工しても一定の品質に仕上げてくれます。素晴らしい。


リン酸塩を使えば、ドリップは少なくなる、むしろ水を入れれば重量が増える、安い材料をつかってもそこそこの食感、食味を出してくれる、といいこと尽くめです。ちなみに、かまぼこはフィルムで包まれているんですが、あのフィルムのつきも良くなるそうです。フィルムとすり身の間に空気層ができる(=つきが悪い)とそこからカビ、劣化の原因となるそうな。リン酸塩万歳。むき海老なんかにもよく使われています。ぷりっとした食感がでますね。いつまでたっても透明できれいな剥き海老です。


逆に、デメリットはなんでしょうか。短期的に分かっているのは、リン酸塩を体内で過剰に摂取するとカルシウムの吸収が阻害され骨粗しょう症にもなりかねない事例がある、というのが大きくあるのかな。カルシウムとリン酸塩のバランスが取れていればいいんですが、じゃあかまぼこやハムなどにどれくらい?っての分からん話で。短期的には問題ないでしょうけど、長期的には?複数の添加物、化合物が体内で反応する可能性は?現在日本国民をつかって人体実験中ですw


んで、もいっちょ。キャリーオーバーの話。


リン酸塩を、吉開さんの工場で添加した場合、出来上がりの商品ラベルに「リン酸塩」と表示しなきゃならんのです。でも、すり身にすでに入ってる場合は表示義務はありません。無添加、と書けるのかな。書いちゃってるのかな。保存料もしかり、ですよね。


まあ、台所に無い物は使わんほうがいいですな。便利や価格、安全、安心はトレードオフでっせ。