加計呂麻島の森林の47%を伐採してしまう計画があります


2009年に朝日新聞社の「にほんの里100選」に選ばれた加計呂麻(かけろま)島。島の人口約1600名、面積の95%を森林が占める、奄美大島諸島の小さな島です。面積77平方kmっていいますから、久留米の約1/3くらいの広さですね。正直、黒糖超うめえ、くらいしか印象にないんですが。あ、あときび酢。やはり食べ物から逃れられないのか、俺は。


で、この加計呂麻の森林の47%を伐採、木材チップにして販売する、という計画があるそうで。
事業主体は「大東海運産業株式会社」という海運業者。最初はフェリーでもやってる会社なのかな、と思ったら別の会社で、意外とでかいことやってる会社でびっくり。副業でこんなこともしてたんですなあ。というか、屋久島での樟脳製造、木材加工から海運に発展してきた由来があったのね。

現在は屋久島で同様の事業を行っており、加計呂麻で事業を展開、ということらしい。


もちろん、35年かけて伐採、ということで、一気に刈り込んでしまうわけではないんでしょうが、当然のように反対運動が。10日間で、島民の約半数にあたる800名が署名、島外からも2000名ちかい署名が集まっております。


森林伐採に反対する加計呂麻住民の会 」
http://www21.atwiki.jp/savekakeroma/pages/20.html


もちろん、伐採後は植林するん・・・だと思いたいけど。まさかそのまんまじゃあるまいなあ。屋久島で現在同様の事業をおこなっているそうですが、だれか現場ご存知ないかしら?


朝日新聞による記事はこちら

森林伐採 対立の火種 加計呂麻島
http://mytown.asahi.com/kagoshima/news.php?k_id=47000001002220001


あれ、ここでは森林面積の1/4となっているなあ。どっちが正解?


「山の保水力を増やすには老木を切って山を再生させたほうが良い。伐採はむしろ島の山を守ることにつながる」とする同社の主張

っていうのには驚きですけど。どこにそんな事例があるんだよ。



沖縄に限らず、南洋の諸島には土壌の問題がつきまといます。


それは、沖縄の土壌は腐葉土層が非常に薄く、逆に「赤土(国頭マージ)」や「ジャーガル」とよばれる灰色系の土壌、泥岩が主体であるということ。そして、島が小さいため必然的に平野部がすくなく、山と海が非常にちかいということ。

これが何を意味しているのかというと、俗にいわれる「赤土汚染」です。
南方独特のスコールがあると、腐葉土層が薄いために赤土が河川に流出、通常ですと平野部に沈殿、堆積するのですが、海まで数百メートルなもんで濁った水がそのまま海に流れ出ます。

その、流れ出た先にあるのは「イノー」と呼ばれる礁池です。干瀬が堤防のような役目をするので、礁池の中は外洋との海水の交換がゆるやかです。こういった環境で育つ魚や生態系があります。具体的に言えばさんご礁。

この「イノー」にたい積した赤土等は、台風や季節風により波が荒れると巻き上がって再び海を濁らせます。つまり、赤土の流出は悪天候時だけの一時的な現象ではなく、繰り返しさんご礁を含む生態系に悪影響を与え続けるのです。

参考:「赤土汚染がおきる仕組み」
http://www.eikanken-okinawa.jp/mizuG/akahp/akatsuchi.htm


畑もそうだけど、原生林や海はその生態系も含めて、一度人の手をいれてしまったら不可逆的なんですよね。まー、この手の問題はどこまで人間が手を入れるのか、という「程度の問題」に収斂していくことがおおいのですが。


私は自然や生態系というものが不可逆的であり、ご先祖さんからの預かり物である以上、なるたけ手をいれずに次の世代に繋げて行ければなあ、と思います。ましてや、10日間で、島民の約半数が反対署名しているのですから。


って、いろいろ調べてたら加計呂麻、いきたくなってきました。
店が閉まっていたら、探さないでください(笑)