- 作者: アダム・リースゴウルナー,Adam Leith Gollner,立石光子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2009/09/01
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 24回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
第1部 自然
野生、成熟、多汁-果物とは何か?
ハワイのウルトラ・エキゾチック
果実と人間との関わり
国際稀少果実振興会
第2部 冒険
ボルネオの奥地へ
果食主義者
淑女の果実
いかがわしい連中-果物の密輸業者
第3部 商業
マーケティング-グレイプルからゴジまで
ミラクリン-ミラクルフルーツの物語
大量生産-甘みの地政学
常夏の地球
第4部 情熱
保護-果物への情熱
果物探偵の事件簿
異界との接触
結実-あるいは創造への熱意
サブタイトルには「果物をめぐる冒険とビジネス」とあるけれど、これだとちょっと説明不足かな、という読後感。いや、確かにさまざまな話題が満載だけど、エッセイの集合体、といった雰囲気で。
ただ、そのエッセイの内容はかなり秀逸で、「果物」の定義から、RAWFOOD(菜食主義者の一派)、カルトなまでのコレクター、文学作品とのかかわり、などなど、話題が豊富です。 それだけになんとなく残念。
もうひとつ、残念な点をあげるとすればミラクル・フルーツをめぐる取材が一面的で(陰謀論が主になってしまっている)、やや浅い印象を残しますが、輸入と検疫の問題、密輸との関わり、武装した農業捜査官、果物市場の現状、などなど想像しがたい世界の広がりへと連れて行ってくれました。
たとえばりんご。2006年のデータですが、中国が世界の生産量の約4割をしめ、2600万トン。次がアメリカで450万トン、日本は?14位で83万トンです。まあほとんどが加工用なのですが、日本にはジュースとして入ってきてます。
たとえばマンゴー。宮崎のパブのおかげでここ数年有名になりましたね。ピンポンボールくらいのサイズから、2kgを超えるものまで、1100種類もあるってご存知でしたか?そのマンゴーも、政治的な理由で30年近くインド産マンゴーはアメリカに輸出できませんでした。主に、原子力の平和的利用がネックになっていたそうです(p186)
たとえばバナナ。私たちの食生活になじんだバナナですが、昔は高級品でしたね。チキータ社が有名ですが、1997年、チキータ社のバナナ輸送船が検査された際、1トンを越えるコカインが発見されたそうです。わおー。
ぼくらは、フルーツのことを、なにも知らない。
ぜひ。