よくある話、ではありますが

公取委、優越的地位の乱用で卸の行為を問題視 小売が発生源

 公正取引委員会は、食品の取引で卸のメーカーへの優越的地位の乱用行為を問題視する姿勢を打ち出した。19日公表した「食料品製造業者と卸業者との取引に関する実態調査報告書」から分かった。公取委は、卸とその取引の相手方との間で、不当な要請による不利益や負担の転嫁が行われるなど、小売が発生源となる複層的な構造の存在を想定、同構造に留意しながらメーカーと卸との間で行われる問題行為に対しても監視を強めていく必要があるとした。(川崎博之)

http://news.nissyoku.co.jp/Contents/urn/newsml/nissyoku.co.jp/20111024/KAWASAKI20111020074336891/1


いろいろともごもご書いてありますけど。
食品の業界ってのは、基本的に買うほうがえらいんです。いや、お前のところも小売じゃねえか、という突っ込みは置いといて(笑)小売は「売ってやってるんだから」と卸問屋に恩を着せ、卸問屋はメーカーに「売ってやってるんだから」と恩を着せ、メーカーはそのまた下の原材料メーカーに「売ってやってるんだから」と恩を着せ・・・。ま、ちょっと大げさですけど(笑)


合言葉は「消費者が納得しない」です。安売り万歳。


特に、日配品だとか生鮮品なんかの世界は厳しいですね。先日も、某日配品のメーカーさんが廃業されました。
そこはスーパーさんとお付き合いされていたんですが、お店に直接納品ではなく、集配センターに納品なんですね。九州だと、遠賀だとか福岡IC、鳥栖なんかにあることが多いです。高速から見えますね。で、センターに店舗分一括納品、そこで仕分けして集配車が各店舗に持っていくというシステム。そこに365日、毎日納品しなきゃならない。もちろん、大量に納品できるから売り上げも立つし、大きな機械もいれられる。支払いもまあきっちりしている。
でも、一つの欠品も許さない。売り出しやるから、と協力の値引きを求められ、センター利用費だと値引きを求められ、断った瞬間に取引がゼロになる。


こんな話は、ごろごろしていますよ。そら新装開店に商品を並べるんでちょっとお手伝い、ってくらいなら分かるんだけどさ。店頭でなぜか他社商品の販促やら、賑やかしのくじ引き担当、はては駐車場の整理まで。給食(病院食や学校給食なども)なんかの世界も、しゃけ一切れ足りなかったから営業が下関から久留米まで高速かっとばして持ってきた、なんてこと聞いたことあります。


ほんと、家族経営で高品質のものを、と頑張っておられたのになあ。
でも、うちなんかの売り上げだと、せいぜい月に1万もいけばいいほう。家族で食っていくには、じゃあ例えば20万の手取りを目指すとして(このへん、ご自分の給与明細を見てくださいな)売り上げで100万くらいは必要ですよね。人を雇えば、さらにきつくなります。以前、勤めていたときの売り上げ目標は数千万/月でした。でも、うちみたいな小さな店が、どう寄り集まったってそれだけの売り上げは立たない。大規模な店舗に頼らないと工場や現場が回らない。そんな厳しい現実も目の前にあります。


というわけで、山陽マルナカの事例

http://www.jftc.go.jp/pressrelease/11.june/110622marunaka.pdf


店頭で並べてみたけど売れなかったから値引きしたけど、その値引き分もってね、値引きしても売れなかったから賞味期限きれちゃったけど返品するね、だって。おまえら、道の駅かよっ!まあ、あそこはそういう前提で商売やってるから問題ないんだけどさ。
買収されてイオンになるらしいけど、実態はこれからもかわらんだろうねえ。


別に作り手をリスペクトしろ!手取りを増やせ!って言ってるわけじゃないんです。消費者と、作り手の距離が離れすぎてしまった。「ありがとう」と言える距離をもういちど作りなおしたいなあ、と思うばかりです。どうやったらこの方向性変えられるかなあ?有機農業の「提携」ってやりかたは、その一つの回答であるとは思うけど。