てん菜含蜜糖に関するちいさなメモ


普段、ムソーさんから「てん菜含蜜糖」を仕入れ、販売しております。まあ、国産ってなだけ(といったらひどいか)なはなしなんですけどね。ただ、この「蜜の含ませ具合」がわりとイイカンジなもんで、お菓子つくられる方なんかは指名買いがあったりします。


で、先月からずーっと品切れ。どうしたことかと思っていたら、本年度分は終了しましたー、とのこと。うっそん。いろいろと事情を調べていったら面白かったのでメモ。

  • 財源不足と品不足

結論から言うと、

1.交付金の財源がないからテンサイ糖を作れない(作ったら赤字になる)
2.製造上の事由により、テンサイ含蜜糖ばかりは出来ない(ビートグラニュー糖も売れないと作れない)
3.作るのは年に一度だけ(10月中旬から翌2月〜5月までの作業)

この三点が欠品の原因でFA?
来月北海道出張あるし、そんときでも聞いてみるかー。

交付金の対象となる数量には上限があるんだってさ(08年産で64万トン)
この財源は国内と海外の価格差(下記)によるもの。一旦独立法人が買い入れ、市中に再度買い渡す、という方式で財源を作るわけですな。同様のものにでんぷんなどがあります。


http://sugar.lin.go.jp/japan/data/j_html/j_1_04.htm


ぼんやりと、普通のきび糖とおんなじ作り方かいなー、と思っていたらどうやらそうらしい。熱水抽出→精製ですね。きび糖は搾って、煮詰めて、糖蜜(廃蜜)と白砂糖を分離していきます。漢字で書くと「熱水抽出→精製」ブドウ糖や果糖など、異性化糖とはちがい、酵素反応は行われません。搾って、煮詰めて、アクを取って、どんどん精製していくと極限は「ビートグラニュー糖」、手前でとめると「てん菜含蜜糖」


と、思っていたらそのへんがちょっと違うらしい。現在調べ中。

  • てん菜に関する背景情報

日本の砂糖自給率は約4割(需要量220万トン)で、その約8割が北海道のてん菜。
てん菜農家は戸数でいうと減少傾向。糖分の多い品種、収量の多い品種(主に欧州からの輸入品種)などへの入れ替えにより平衡を保っている状況。
http://sugar.lin.go.jp/japan/data/j_html/j_1_02.htm
需要>供給なのだが、作物単価的には下落傾向。


病気としては、「そう根病」「褐斑病」「黒根病」「根腐病」など。


3月上・中旬…移植栽培ではペーパーポットでの苗作りが始まる。
4月中旬…苗を作らず直接畑に種をまく「直播(ちょくはん)」で種まき開始。
同下旬…苗の移植作業がスタート。葉の数は4、5枚まで成長。1ヘクタールに7万本が目安。
5、6月…除草剤の散布や機械的な手入れで畑の雑草を抑える。
5−10月…病害虫対策で農薬などを適宜散布
10月上旬…収穫。地上に出ている茎葉部を機械で刈った後、収穫期で土の中から掘り起こし、畑の隅に山積みに。順次製糖工場に運ばれる。


  • お砂糖に関する背景情報

砂糖は日本人の摂取カロリーの約8%を占める。年間一人当たり17kgを消費。
http://sugar.lin.go.jp/japan/data/j_html/j_1_01.htm
国内産と輸入粗糖には大幅な価格差。てん菜糖は約二倍、サトウキビ糖(甘しゃ糖)は約6倍)
サトウキビは主に鹿児島、沖縄など台風常襲地域で栽培されているため、他の作物に代替不可能。
国内産黒糖はここ数年年間8000t程度生産されているが、さとうきびの成育が気候や害虫など自然の影響を大きく受けるため生産量および品質は安定しない。
http://sugar.lin.go.jp/japan/data/j_html/j_1_04.htm
中国,タイ,ブラジルなどでも黒糖が生産されており、年間15000t程度輸入されている。
世界で生産される砂糖のうち、6割以上が甘蔗糖、4割以下がてん菜糖。
メープルシュガーは北アメリカ、カナダで生産され、砂糖楓の樹木1本から年間1kgの楓糖ができる。
「○○レス」などという表示は、健康増進法に基準が定められていて、糖質の場合は、食品100g(飲料は100ml)当たり、ブドウ糖や果糖まで含めた糖類が0.5g未満であればいい。
糖類が5g以下の食品は「微糖」「低糖」などと表示できる。
糖類に分類されない人口甘味料などを添加することもある。これにもカロリーがあるものもあるので、「ノンシュガー」必ずしも「ノンカロリー」ではない。
ほとんどの砂糖には、賞味期限や消費期限の表示がない。糖類の結晶は品質が劣化し難く、食品衛生法JAS法も義務づけていない。
ただ、水分やミネラルが多い黒糖は、カビなどが発生しやすいため、一部は自主的に賞味期限を記載している。



  • てん菜糖のつくりかた


砂糖の作り方は大きく二通り。
含蜜糖と分蜜糖。ざっぱに言えば、搾って煮詰めるか、遠心分離にかけるか。遠心分離、精製の過程でKやCa、Feが消える(廃蜜側に残る)

このへん曖昧なのでもうちょっと実地でしらべること。


精製糖の製造では、原料糖に蜜を混ぜ、加熱しながら攪拌し、結晶の表面に付着している不純物を蜜に溶かした後、遠心分離機で蜜と結晶に振り分けます。さらに、この不純物を除いた液を活性炭や骨炭あるいはイオン交換樹脂などで、念入りに清浄すると糖液は無色透明になります。
この液を煮詰めて結晶を生じさせ、遠心分離機にかけ取り出したものがグラニュー糖や上白糖のような高品質の精製糖です。残った蜜には、まだかなりのショ糖が残っているので、煮つめてさらに結晶を取り出す工程を繰り返し、三温糖を取り出します。そして、これ以上経済的に砂糖を取り出すことが困難になった蜜が最終糖蜜です。

ラニュー糖は真白でサラサラとした感じ。クセのない淡泊な甘さが特徴。って、砂糖のグレードの話なので、原料はあれこれある。上白糖、ザラメ糖、しろざら、など。業務用の世界ではいろいろあっておもすれー。




  • お砂糖の効果あれこれ

1.防腐作用:水分をかかえ込み離さないので、細菌やカビの発生をおさえる働きがあります。ジャムや砂糖漬けが腐敗しにくいのはこのため。

2.醗酵促進:パンに使うとイーストの醗酵を活発にしパンをふくらませる。ぶどうジュースにお砂糖を入れるとワインになりますな。イーストの良い餌となってくれます。又、小麦粉に含まれるアミノ酸との反応でパンやクッキーの焼き色をよくします(メイラード反応…だっけ?)

3.でんぷんの老化防止作用:カステラやもち菓子がやわらかいままの状態でいるのは、お砂糖のおかげ!

栄養素としては、炭水化物の一種。1g当たり4カロリーのエネルギーになる。又、血糖値を上げるので疲労回復に役立ちます。


ちなみに、お砂糖はほんのちょっとならば体を温めてくれます。マクロやってると「イケナイモノ」の代表格に扱われがちなんですが、正食協会の本なんかよーく読むとそうでもなかったり。どうしても「ミクロビオティック」になりがちなんですが、自分の体調とよーく相談してね〜。


参考リンク:

独立行政法人 農畜産業振興機構
http://alic.lin.go.jp/operation/sugar/assistance-guideline.html


日本甜菜製糖株式会社 | 知る・楽しむ 異性化糖って、何だろう?
http://www.nitten.co.jp/column/syrup.html


おさとうドットコム | 砂糖・黒砂糖は上野砂糖株式会社 おさとうのいろは
http://www.osatou.com/satukibi/oll/index.html