大川の庄分酢へお邪魔してきました


土曜日は昼から大川へ。「肥前街道祭り」とあわせて、大川の「酢屋商店 蔵開き」にお邪魔してきました。 6年ぶりくらいでしょうか。

蔵開き、というと酒蔵だったりワイナリーだったりしますけど、珍しく酢・・・。まあ、もとは日本酒だしなあ。


もともとは、現社長が「酢にもっと親しんでもらいたい!」との想いではじめられたもの。ところが、酢は日本酒と違い一年中仕込みますんで、蔵開き、といってもなかなかタイミングが難しい、ということで地元のお祭りにもあわせて、公開されております。
現在お住まいの自宅が県の文化財に指定されているために、それもあわせて公開。重厚な江戸時代から使い込まれてきた、生きた母屋も必見。


面白かったのが、蔵の屋根が真っ黒なんですよ。壁も一部黒いの。
え、空襲対策?とかボケたこと思ってたんですが、なんとこれが酢酸菌。いわゆる「蔵付き」って奴ですな。壁までかもしてやがるのか、あいつらは・・・。



奥の屋根瓦が真っ黒なのは光の加減ではなく、蔵つき酵母の黒さです。
左手二階の板壁、上のほうは白くなっていますが、下側は墨を流したような黒さ。よーく見ると手前の建物の雨どいも真っ黒・・・。そ、掃除してないわけじゃないんだからねっ!


「うちの壁だけだったらいいんだけどねー。近所の壁も黒くなっちゃって、最近では苦情をもらったりしてねえ・・・」なんてことも。ひゃー、漬物が旨く漬かりそうでいいなあ、なんて思っちゃうんですけどね。時代か。


酢ってどうやってつくるのーん?というかたはちょいと読んでくださいな。
はしょった説明をすれば、日本酒をつくって、そこに「種酢」と呼ばれる酢を数割まぜて、表面に酢酸菌の膜を移植して熟成すればできあがりー。いや、えらくざっくりした説明ですけどね。米の種類、精米の仕方、仕込み方、ぜんぶちがうんですが。



これは米酢を仕込んでいる杉の桶。冬季は桶の上にむしろでこもがけ、保温してあります。もちろんFRPのものもありますし、ほうろうのものもありますが、やはり香り、味ともに違います!とのこと。なかなかこの竹の「たが」を締めることができる職人さんがおられず、またご高齢ということではありますが、可能な限りはやっていきます、とのこと。


でまあ、一般的にはいちいち日本酒を醸して、なんてことはせずに食用アルコールに酢酸菌いれて、温度管理して数週間でできあがりー、なんですが、昔からのやりかたでやろうとすると、早くても約3ヶ月はかかるかな・・・。甕仕込みとかだと、半年とか。さらにそこから熟成させて2年とか、そんなものもありました。



こちらは甕酢。さきほどちらりと書きましたが、酢酸菌の活動が活発なのは30〜40度くらい。冬は保温を、夏場は逆に冷却が必要だったりするのですが、雨よけのハウスで保温するくらい。比較的年中暖かい九州独特の醸造法ですね。この甕では、玄米黒酢を仕込んであります。鹿児島のほうでも有名ですよねー。
表の蓋は和紙に柿渋を塗ったもの。

びっくりしたのが、福井のマルカワ味噌さんとばったりお会いしたこと。どっかでお見かけしたかただな・・・と思っていたらひえー!社長、福井から車で走ってこられたんですか!
息子さんと交代しつつ・・・とさらっと言われておりましたが、いやいや850kmありますやん・・・。