内野樟脳さん見学記

全国ではここだけ(正確にいうと、宮崎に技術指導されたところがあるらしいのですが)、という内野樟脳。


そもそも樟脳ってなによ、というところから。
まあ、くすのき、という樹があります。船小屋のあたりにでかい樹が立ってますが、あれ。今度写真とってくるかな。んで、あの樹を刻んでチップにして水蒸気で蒸留します。チップのしたから水蒸気をあてて、上がってくる蒸気に精油成分を移すんですね。で、蒸気を数段階にわけて冷やすと、結晶と油がとれます。1962年までは日本専売公社、いまだとJTですね、あれで専売、配給の時期もあったそうです。
そもそも、くすのきは温暖な地域で育つため、台湾や東南アジアで栽培、プランテーションされていた時期もありました。


円盤に、刃が付いているのがわかります?
ここにくすのきのブロックを押し当ててチップにしていきます。


これがチップ。これを蒸していきます。ちなみに、燃料は精油を取り終わったあとのチップ。超リサイクル。燃やし終わったあとの灰も、釉薬やいわゆる「アク」をとったりと捨てるところはありません。




これが蒸し終わって、燃料となるチップ。なんとなくパサパサしたカンジがしません?(笑)


ちなみに、2トンの原木から30kgの精油と結晶がとれるそうな。ひえええ。


簡単に「くすのきのブロックを押し当ててチップにしていきます」と書きましたが、樹には「目」や「筋」があり、これを読み違えると樹がさけたり、破片がとびちったり、どうかすると「刃」が飛びます。かといって、機械化するほどの需要もない、お金もかかりますしね。夫婦ふたりでやりこなしておられるそうです。


これは、樟脳の結晶と精油を分離する桶。専売公社が解散、樟脳を自由に製造、販売ができるようになったときに、専売公社の工場から払い下げてもらってきたそうです。


薬効、としてみれば血行促進作用や鎮痛作用、消炎作用など。いわゆる「カンフル剤」の語源でもあったりします。敏感なひとだと、鼻血でるそうな。
私達は主に防虫剤として。液体を直接まけば、猫よけにもなりますし、ムカデなんかも。倍量にうすめて(といっても油ですから水とは混ざりませんがそこはドレッシングと一緒。使う前によく振って)スプレーすれば、虫除けにもなります。変な防虫スプレーよか、よっぽど良いです。


「最初はね、鹿児島のあたりから注文をもらって。そのあと、このへん、関西をすぎて、今の時期は近畿かな。衣替えの前線が北にあがっていくんよー」と。和服の文化が残っているところからは、特に引き合いがあるそうです。小指のさきほどの結晶を、ちり紙につつんでたんすの四隅においておくだけ。クローゼットに精油を染ませたガーゼをつるしておくのもいいでしょうね。