週末はNPO法人「有機技術会議」主催の「有機農業技術大会」に参加してきました。一口に「有機農業」といっても、稲作、畑、果樹、畜産などなど。また、生物多様性や村おこし、家庭菜園への応用や在来種保存、新規就農者の受け入れなどなど、ものすごく間口が広いのです。22日の午後、23日の午前中をフルにつかっての講義、討論だったのですが、非常に刺激になりました。
8月22日(土)
12:00〜 受付開始
13:00〜13:30 開会あいさつ(西村和雄・有機農業技術会議)
来賓あいさつ(東海大学、農林水産省、熊本県、九州有機農業推進協議会)
13:30〜14:30 基調講演(片野學・東海大学農学部)
14:30〜15:00 休憩
15:00〜18:00 分科会
稲作/司会:稲本薫・冨田親由 発表者:内田俊和・川崎眞志男・古野隆雄
畑作・施設/司会:澤村輝彦・犬童幸和 発表者:西山正一・山口今朝廣・間司・松本茂・園山國光
果樹・茶/司会:鶴田志郎 発表者:藤本邦夫・菊池正晴・橋口典明・田中智章
畜産/司会:渡辺裕文 発表者:井信行・本田一幸・沖田速男
在来種保存普及/司会:佐藤勝六 発表者:岩崎政利・和田ユイ子・久木田啓一・原田晃伸
家庭菜園/司会:永峰典隆 発表者:青木スミエ・吉田俊道
生物多様性/司会:藤田正雄 発表者:宇根豊。村田浩平・中川ケイ子
※講師は全て予定です。
19:00〜21:00 情報交流会
8月23日(日)
8:30〜 受付開始
9:00〜10:15 全体集会
村おこし:宗一則 新規参入:内田敬介・大和田世志人・熊本県立矢部高等学校
10:15〜10:30 休憩
10:30〜12:00 総括集会
12:00 閉会
という流れだったのですが、分科会がどれもえらく魅力的で悩む悩む…。
悩んだ末、在来種保存をチョイス。
階段教室に座ると眠くなるのは仕様ですw
というわけで、ちょっとメモを書き抜き。
- お茶園と霜の害について調べること。霧はOKなん?
- 秋ウンカは中国、ベトナムあたりから菊地あたりまで飛んでくる。阿蘇まではあがってこれない。
- 食べることの大切さ。トイレは研究室である。「二本人」でありたい(謎)
- 体温が一度下がるごとに、免疫力は30〜40%下がると。
- 農薬=ぺスティサイド
- 有機農法もいろいろあるだろうが、ヨーロッパの主流はバイオダイナミック農法
- 害虫害虫というが、害をあたえるのは(固体種ベースで)1%。農薬は、すべての虫に影響が出る。虫だけを殺す薬はないですよー。
- 「いただきます」というが、いただくのは命である。
- 医者が暇になる社会を!
- 地産、地消、地循(地域循環)!
2009/09/01 メモを追加
- 有機認定委員の24%は九州
- 耶馬溪、綾町など事例も豊富
- 自然栽培にすると、裏作の麦がなくなってしまう。これをどうするか/どう捕らえるか
- えさの自給率は24〜6%程度
- かぶせ茶って、要はもやしよね。
- 土がふかふかなのに驚いてるけど、ローム層だったらどうよ?シラス台地はもっといくんじゃね?
夜は交流会。八代の森下さんにひさしぶりに会った!!元気しとったですか!と思わず抱きついてしもうた(笑)この人、ぜったい面白いから近いうち見に行きます。
鹿児島の久木田さんや、全国有機農業推進協議会事務局の原田さん、大久保さんと受付に陣取ってビールビール。大浴場で裸の付き合いまで(笑)
翌朝から大学に移動して、事例発表。
矢部高校の地産地消メニューの発表など。
猪、鹿、合鴨をつかった弁当「いのしかちょう」カレーなど。山都町(矢部町、清和村、蘇陽町が平成17年に合併)では人口18000人に対し、推定22000頭の鹿がいるなど、害獣としての鹿、猪が問題になってきています。猪肉はそこまで需要が大きくなく、鹿肉はほとんど埋めてしまうために野犬が掘り起こしてしまい、野犬が増えるという予想外の悪循環まで。合鴨は、合鴨農法のあと成長した合鴨の処理になやんで。これをなんとか活用できないか、ということでカレーをつくったり、弁当にしたりと。地元の食材をうまく生かしたあたりが素敵ですな。
また、物流、原価計算まで高校生にさせる、ということで素晴らしい体験だったのではないかなあ。こういう高校生が都会に出て、そして働きに戻ってこようにも職が無い、だから地元がもっと過疎化する、という循環をとめたいとしみじみ。ちなみに山都町の農業収入は平均100万ちょっと。お年寄りの小遣い稼ぎで50〜60万くらいと、専業農家とで、最頻値は二つほどの山になりそうかなあ。ちなみに、山都町の自給率を計算してて(何ベースかききそこねた)米は550%、野菜は1300%、果樹は30%くらいとのこと。
最後に整列して「礼!」の掛け声でぺこりと頭を下げる様はかーわーいーいー!おっさんですな。はい。
後半は新規就農者の受け入れに関して事例発表。
JA熊本中央会の事例。まあ、JAが有機に取り組むこと自体珍しいのだけど、人材育成にまでやるとこはもっと珍しい。なかなか受け入れ農家とのマッチングが難しく「あいつはなんも質問せん」「なんも教えてもらえなかった」という行き違いがあったり、生活費の問題、人付き合いの問題などいろいろありますね。このへん、留学業界の事例が参考にならないかしらー、とふと思ってみたり。
「でも、主役は新規参入者なんです」という言葉が印象に残りました。
あとは鹿児島の大和田さんの事例。年間60万ってのが相場なのかなー>研修費
有機の学校「土佐自然塾」もちらりと。5年目にして運営費を授業料収入と野菜の売り上げなどでほぼまかなうという成功例。スタートアップには補助金がついても、運営費にはなかなかつかないもんね。これ、11月に高地で第五回があるんだけど、そのとき発表あるのかなあ。ぜひ見に行きたく。
で、資料集の最後に、九州各県の「有機農業推進計画」が載ってたんですが。
福岡県:2ページ
佐賀県:11ページ
大分県:10ページ
鹿児島県:17ページ
福岡県ダメポorz
目次すらいらないという潔さ。なんだこれは。
長崎県と宮崎県はどうしたのかなー。もしかしてまだ「作業中」?
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_kaigi/h210120_21/pdf/siryo5-1.pdf
校舎の裏の芝生スペース、木陰にベンチがあったり。でも、その裏にはすぐビニールハウスがあったり(笑)
ウルトラのどかだー。ちなみにココ、国立公園の中なんで、鉄塔の色にも指定があったりするそうな。大変だねえ。
自分ができることってなんだろう、と最近考えていたんですが、こういった人たちが農業者をつくっていくんだなあ、と。じゃあ、俺は「農業理解者」をつくっていく、というと偉そうですが、農を理解してくれる人を増やしていくのがテーマなのかなあ。だからこそ、農をもっとしりたい。あちこち訪ねていきたいなあ、と。
ちなみにコレ、農林水産省よりの補助事業です。全体で5億5千万の予算ですが、うち4億ちょいの補助。まあ、一億5千万手出しできるのはすげえなー、と思いますが。
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/pdf/h20_gaiyo.pdf