なたね油に関する小さなメモ

なたねは、九州だとお米の裏作になります。秋にまいて、春先に黄色い菜花が。そして収穫。


そんななたねをめぐる小さなメモ。

鹿北製油さんのWebから。

http://www3.synapse.ne.jp/kahokuseiyu/200909.pdf(PDF注意!)

今年度から国産なたね生産に対する国からの交付金制度が廃止された事により、国産なたねの買い入れ価格が、約2倍の50kgあたり4,500円から8,400円に引き上げられました。
これにより、弊社でも価格等の見直しをせざるを得ず、本年9月1日出荷分より下表の通り変更させていただいております。(一部、容量を変更した商品もあります)


実は国産の原材料をすべてかき集めても1000t。これが現実です。主な生産地はなんといっても北海道、そして鹿児島、青森など。すべて予約制です。産地にあらかじめて「これだけ欲しいです」という希望を出していても、それだけ入ってくるとは限らない。そんな状況らしい。
国産なたねってだけでも結構な貴重品だったりするんですね。収穫に手間がかかる、油を絞り精製するのに設備投資が必要、そもそも販路がない、あたりが理由でしょうか。農家さんの高齢化、っつうのももちろんあるでしょう。


で、北九州から大分の方に抜けると、築上町ってとこがあります。行橋の近く。といってもあまりぴんとこないでしょうねー。実際、自分もぴんとこない。


以前から、そこでなたねを作り、菜種の油を絞り、という事例をライターの森千鶴子さんから伺っていたり、サンプルをいただいていたのですが、いまいち食指が動かず。とはいえ、西日本新聞などで取り上げられたり、地元で販売されてたりと好調だったようです。
以前から循環型社会を町自体が推進されており、将来的には菜種油を町内で消費、そこで出た廃菜種油からBDF(バイオディーゼル燃料)を精製。町内のし尿などから作った液肥をBDF車両を使って畑に戻す、などの計画もあったり。


液肥については、賛否両論ですけども。直接口にする野菜類とは違い、まあいいかな、と。この液肥の行程も見てみたいです。来年二月に「九州山口・有機の祭典」が原鶴でありますけど、二日目の午後、現地検討会が大木町なんすな。大木町もたしか似たようなプラントもってたと思ったんですが。あそこの見学もできるかしらん。



んで、甘木の平田産業さんがこの菜種を引き受け、築上町の菜種油を作りました。ビンなのが嬉しいですね。割れたりなんだりと面倒なんですが、PETはどうしても信用できんのですよ。避けられるものは避けておきたいと思います。早ければ来週末にも入荷予定。限定500本、とのこと。
隣は岐阜の内堀さんが出されている「純りんご酢」 純ってなんかいなー、ほんじゃあ不純なリンゴ酢もあるんかやー、と思ったらあるんですな、不純なヤツ。
まあ、りんご果汁が高いもんで、アルコールを混ぜ込んで、そこから発酵、リンゴ酢にするんだ、と。発酵期間の長短、原材料の違い。いろいろありますね。まあ、これは余談。


搾り方など見てみたいですね。平田さんのもってる古い工場で搾ってるんです、とのこと。普通はヘキサンなどの薬剤に漬けて、完全に油を抜くんです。歩留まり、っていいますけどこいつが異様に良くなる。99.9%油が絞れるんじゃないでしょうか。普通に圧搾なんかやってると、一回目で6割とか、二回目搾ってやっと8割とか、そんな感じ。んー、平田さんの工場、ちょっと見てみたい。青木さん見せてください。どんなとこなんだろう。わくわくです。


#2009年11月18日、見学してきました。
http://d.hatena.ne.jp/wwwkurashijp/20091118

##一度目の搾るで8割、その後は有機溶剤をつかって99.8%まで搾れるそうです。うわお。


ところで、菜種の品種はなんなんだろ。そもそも、菜種の品種って、どれくらいあるんでしょうか。アブラナ科なんで、交雑しやすいですし、世界的に言えば遺伝子組み換え品目ですし。


よく、菜種は「キャノーラ油」「カノーラ油」という名前で販売されていますが、厳密に言えば菜種油とは違います。品種改良して、心臓病へのリスクがあるエルカ酸、グルコシノレートなどをあまり含まないものが「キャノーラ」です。
最近では、遺伝子組換え技術を利用したラウンドアップレディー(農薬(除草剤)であるラウンドアップにのみ耐性がある品種の総称)品種が主力であり、カナダを中心に生産され、遺伝子組換え食品として、大量に日本に輸出されています。ラベルをよーく見て、どこにも「非遺伝子組み換え」という表現がなければ、だいたいコレでしょうか。あと、加工食品。表示義務はありませんので、レトルト食品や、コンビニ、外食チェーンなどの強い味方です。業務用食材店なんかを見ると、販売されていますんでたまに社会科見学へいきますw


築上町の事例だと、10アール当たり三万円の売り上げが見込める(売り上げですよ!利益でないことに注意)とのこと。

農業は、独特の単位がおおいですな。10アールつっても、ピンとこないひとが。や、俺もしばらくわかんなかったです。「ふんふん」つって頷いて、家に帰って調べたりして、ね(笑)

1たんは「1反」、1ちょうは「1町」です。10反あつまって、1町。
そんで、


1反=9.9174a≒10a
1町=99.174a≒100a=1ha

1a=100平方メートル
1ha=10000平方メートル

1反=1000平方メートル
1町=10000平方メートル=1ha


まあ、1反ていうと、幅10mの道路が100m続いている、と。店の前が、センターラインがない片側一車線で、幅7mくらいですからもうちょっと広めかな。ちょっとした歩道、センターラインありで10mくらいでしょう。これが1町とかいうと、1km続くわけです。北海道の折笠さんとこなんか、いろいろあわせると50町とかなんで、福岡までいけます。これがアメリカとかになると、200町とかになるんで、山口くらいまでいけそうですな〜。そこまでいくと、当然目が行き届きませんから、衛星写真なんかを見て「あのへん水が足りない」とか指令をだすわけですよ。すげえすげえ。


でまあ、築上町を振り返ってみると、7ヘクタール。7町ですな。九州だと、結構な広さです。

1反で3万円なら、裏作でぼちぼちいいべやー、と。まあ、「食える」とまではなかなか行かないでしょうけど。よっぽど大規模にやるか、無農薬などでプレミアをつけていかないと、専業では厳しいでしょうか。そういう構造になっている。


実は、平田産業の青木さんにサンプルをわざわざ持ってきて頂いたんですが、ちょうど先週いった長崎の梅元さんの前掛けをしていたので微妙に気まずかったり(笑)いや、以前青木さんから、平田さんのデッドストック前掛けをいただいて、長いこと愛用してたんですが、ずいぶんと色あせてきたもんでですね・・・とここで言い訳しておこう。えへ。