原木栽培椎茸と、「国産」の表示に関する小さなメモ


しいたけの栽培方法、ご存知ですか?

大別して二つ。原木栽培と、菌床栽培。
菌床栽培は、ふつうのきのこと同じくおがくずなんかを固めて、そこに菌を植え込み温度と湿度管理をします。でかい工場なんかでよくやってますね。市場流通のほとんどがこれでしょうか。出荷計画も立てやすいですし、コストも下げられます。味も安定してそこそこ。

「ほくとのきのこができるまで」
http://www.hokto-kinoko.co.jp/b/index.html


んでもって、原木栽培。
とにかく手間と、時間がかかるし天候の影響を受けやすい。必然的に高値となりますし、あるとき無いときがあります。
まず、原木を育てるのに7〜8年。それを切り出すのに一苦労。それを玉切りしてほどよい長さにそろえたところで、手作業でコマ打ち(じみーな作業ですw)、山の傾斜地にかつぎあげてやぐらを組み、数年たつとぼちぼち椎茸が出てきます。


原木は重いし、傾斜地で足場はわるいし、雨がふるといっせいに出てくるし、でイマドキは少なくなりました。昔は、冬場のお百姓さんの仕事だったんですよね。



これがうまいんだ。や、この写真のやつはやや開きすぎなんだけど。
この状態で、じっくり炭火で焼いて、ちょいと醤油でもたらして食うと幸せになれます。ひっくり返して焼く奴は死刑です。


で、この原木。くぬぎの木に、「コマ」と呼ばれる菌をうえこんだものを打ち込んでいくのですが、中国産が増えてきている、っぽい。そういや、ホームセンターなんかに売ってるなあ。

本来は、くぬぎを育て、切り出してコマを打ち込み、木陰で栽培、数年後に収穫、という流れなのですが、コマを打ち込むところまで中国で、どうかすると数年間木陰におくところまで中国でやって、実際の栽培のみを国内で行う。そんな流れらしい。ちなみに、一度生え出すと数年間は収穫できます。


農林水産省
「原産地表示の方法について 」

http://www.maff.go.jp/j/soushoku/gaisyoku/gensanti_guide/g_guide/honbun.html#4-1

農産物の場合
・国産品にあっては国産である旨に代えて都道府県名、市町村名、地域名その他一般に知られている地名
・輸入品にあっては原産国名に代えて州名、省名その他一般に知られている地名
畜産物の場合
・国産品にあっては国産である旨に代えて主たる飼養地が属する都道府県名、市町村名その他一般に知られている地名
・輸入品にあっては原産国名に代えて一般に知られている地名
水産物の場合
・国産品にあっては国産である旨に代えて生産した水域名、水揚げした漁港名、水揚げした漁港の属する都道府県名、主たる養殖地の属する都道府県名その他一般に知られている地域名
・輸入品にあっては原産国名に併記して生産した水域名


生えたのは、間違いなく国内ですから「国産」ですよね?
でも、それを「国産」で売るのはどうも違うよなあ、と思います。売りたくない。


でもまあ、じゃあ肉にしたってほぼ100%餌を輸入しているわけですよ。交配(ってかくとイメージわかないけど、生殖です)にしても、人工授精で帝王切開でとりだして無菌の工場で育てて、とかが現状なわけで。


「国産」ってなんだろうなあ、と思う次第。