第1回有明海再生講演会「森里海連環に基づく有明海再生の道」

こういった状況の中、有明海の変化を30年に渡って研究されてきた京都大学名誉教授の田中克先生の講演会が、10月30日(土曜日)に柳川であります。ちなみに無料。まじですか。いいんですか。この方の講演会が東京であったとき、店を休んでいこうかと真剣に考えたくらい、すんごい先生なんです。

【 動 画 】森里海連環 つながりの価値観を取り戻す
http://www.youtube.com/watch?v=RFJyNtwAljE

日時:平成22年10月30日(土)13時30分〜17時30分
場所:福岡県柳川市立三橋町公民館大ホール


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主催:NPO法人森は海の恋人,NPO法人筑後川流域連携倶楽部,NPO法人天明水の会
後援:朝日新聞西部本社・毎日新聞西部本社(予定)・グリーンテレビジャパン・WWFジャパン・国際海洋研究所日本支部・河北新聞リアスの風・田島山業・さいふや旅館

問い合わせ先:NPO法人 有明

NPO法人 有明
〒8320068 福岡県柳川市城隅町18-9
柳川のうなぎと川下りの(株)大東エンタープライズ気付
TEL : 0944-75-5555
FAX : 0944-72-7948
E-mail : npo@ariakekai.com
URL : http://ariakekai.blogdekoken.jp/



以下、趣意書から転載いたします。

類まれな生物多様性に満ちた豊穣の海,有明海は様々要因の複合から“異変”と呼ばれる極めて深刻な事態に陥り,関係者の懸命の努力にもかかわらず,未だ再生への確実な道を見通すことはできません。
幸い,マニフェストに開門をうたった新政権が誕生し,有明海問題の焦点である諫早湾閉め切り堤防開門への世論が高まり,ついに政府は2010年4月28日に開門の意思表示を行い,その効果や影響を中長期的に見定める調査を次年度より実施する方向を打ち出したことは,有明海再生への大きな起点になるものと期待されます。


 しかし,さらに先を見通せば,開門はその出発点であることには違いありませんが,本質的な有明海再生はさらに奥深い問題と思われます。有明海は一大河口域です。海水と淡水の混じった“汽水”が豊穣の海の秘密と言えます。海苔養殖も貝類・甲殻類・魚類はじめ多くの多様な生き物を対象とした漁業もすべて“汽水の恵み”です。
諫早湾閉め切りも大局的に見れば陸域と海域の分断であり,汽水域とそこに発達する干潟域の消失そのものと言えます。有明海を一大汽水域にしているのは,湾奥部に流入する淡水の大部分を供給する筑後川の存在と考えられます。


 これまで,海は海,農地は農地,森は森,さらに,都市は都市としてそれぞれのつながりに関係なく個別に管理され,行政施策が講じられてきましたが,有明海の豊かさの源を辿ると,それらの区分けを超えて母なる筑後川の存在そのものに行き着きます。今後,有明海の再生,すなわち持続的な環境低負荷が他の海苔養殖漁業とその他の多様な生きものを対象とする漁業が共存し,広く人々がさまざま恩恵を受ける海に再生するためには,有明海内部の問題としてだけではなく,筑後川を中心とする河川流域の人々の暮らしや川とのかかわり方を見つめ直すことを抜きにしては,その再生はおぼつかないと言えます。


我が国は奥深い森と多様な海に恵まれた,世界的にも極めて稀な森と海の国です。本来は豊かな森が豊かな海を育んできました。その典型的事例が有明海です。
しかし,この間,有明海を取り巻く環境は大きく変わり,森と里と海のつながりは分断され,今日の深刻な“有明海異変”を招いています。このことは単に有明海に限らず,多くの沿岸域が共通に抱えている問題です。この有明海において,その環境と漁業の再生への道を開くことができれば,それは日本全体の沿岸域を元気づけるに違いありません。


 森と里と海のつながりを数十年以上にわたり肌で感じ,自ら山に木を植え続け,子どもたちの環境教育に関わってこられた“森は海の恋人”運動のカキ養殖漁師畠山重篤さんを迎えて,講演会「森里海連環に基づく有明海再生への道」を開催致します。主催者一同,この講演会を通じて,有明海の再生を目指して筑後川流域の英知を集めて今後の動きを速める転機にできればと願っています。有明海再生への新たな扉を拓くべく,一人でも多くの皆さんのご参加を切に願っております。