馬場水車製粉にお邪魔してきました


水曜日は昼間から八女の朝日屋酒店の高橋さんに案内していただき、上陽へ。

http://blog.livedoor.jp/asahiyayame/archives/cat_27229.html

http://d.hatena.ne.jp/wwwkurashijp/20090421


えらそうにあれこれ書いておりましたが、実はやっとこさお伺いすることができました。



上陽から田主丸へとぬける、旧街道に位置します。
一見、ほそい路地に見えますが、この砂利道が旧街道です。軽トラ一台分の広さ。



水車の直径は5.5m、幅1.2m。水量は毎秒200Lほど。杉で組まれた水車は20年持つそうな。ちなみに朝倉などの観光水車は5年ほど。なんでだっけか。忘れました〜(謎)

#20100219追記 コメント欄にて高橋さんにフォローしていただきました。ありがとうございます。



ここで粉末にしているのは、杉の葉。
裏手の薪ボイラーで大きな室(むろ)のなかで熱風乾燥後、水車動力で杵をもちあげ、自重でおとして搗いていきます。最後にメッシュでふるって完成。目が荒いものは再度製粉の過程を経て線香の原料となります。


どっ、どっ、どっ、とリズミカルな振動がかすかに伝わってきます。



水車小屋もまだまだ工事中。木製の歯車が準備されていました。小さな臼を準備して、小ロットであれこれ搗けるといいねえ、と馬場さん。




タブの木も庭先に山と積まれていました。
これも乾燥させたのち、製粉します。ちなみに、乾燥も薪ボイラーで熱風乾燥です。加減を誤ると、自然発火して火事になるのでこれまた気が抜けない。

で、タブの木は林業の人にお願いして切ってきてもらうのですが、これが人柄がでます。
茶色い部分は粘り気がすくなく、材料として不適合なのではずすのですが、目方で買うため雑な人はこの茶色の部分が多い(笑)

「この枝の束をみれば、人柄がしれますよ」と笑われておられました。


一通りの説明が終わったのちにお宅にお邪魔してあれこれ四方山話を。


そばを流れる清流での釣りの話、昔は川の水も飲めたんだけど上流に養豚場が出来てねえ、とか、犬をつれてのイノシシ猟の話(つるし切りができるんだってさ!弟子入りしたい!)、炭を焼いてコタツにいれて、とか。床の間の置物の話から(逆木って知ってる?)、家を建てるときの木目の流れ(昔の大工さんは木目を読んで、木が森に生えていたときと同じ方向に使ったもんだ、とか、いやいや一本だけ逆さまに建てておくんよ、とか)のお話とか。


タブの木にしても、一束にしてみれば数百円なのですよ。10束あっても数千円です。それだけを目的に山にはいれば、とても経済的に見合うものではないのですが、山仕事の帰り道にちょいと刈り込んでくる。まあ、タバコ銭と晩酌代くらいにはなる。そういった、小さな現金収入を複層的に積み上げていき、現物経済を主にした生活が山のくらしであり、農家のくらしだったのでしょう。


現金経済からみれば、貧しい中山間地のくらし、となるのでしょうが、すべてが循環するくらし、がそこにはありました。


水車製粉にはいくつかのデメリットがあります。
音、振動がもちろんでますし、夕立がきたじゃの台風がきたじゃので水量の調整が必要です。
水路にゴミがはいれば掃除も必要です。昔は地域の共同体でやっていたのでしょうけど、もやいがなくなった現代、それもなかなか。


しかし、「再生可能な地域資源の継続的利用」が可能である、という点において水車動力は中山間地、水資源の豊かな農村地帯にもっとも適した動力だといえるのではないでしょうか?電気は使ってしまえば終わりですが、落差、水量を利用した水車での発電、動力源は下流での再利用が可能です。

そしてそれは豊かな森林資源、広がる水源、平野部での稲作、漁業などに繋がっていくのです。それは、決して郷愁だけではない。俺はそう思います。


ミニ水車を利用したマイクロ発電も商品化が進んでおります。裏の水路でちょいと発電、なんていかがでしょうか?ちなみに、馬場さんの水車で約10馬力。って書くとえらく小さい出力におもえますが、これに発電機を取り付ければ4〜5軒分の電力をまかなえますよ、とのこと。もちろん、蓄電の技術設備も必要になるんでしょうけど、水車発電で携帯のアンテナ塔の電力を維持、なんて面白いんじゃなかろうか。